東日本大震災 現地視察状況 (1)

1. 日時 : 平成23年6月21日(火)~24日(金)
2. 視察場所 : 宮城県海岸線
     
今回は時間の制約上、宮城県の海岸線に限定して視察を行いました。





気仙沼湾の鹿折唐桑駅周辺
船舶が乗り上げ線路も被害を受けている。



気仙沼湾の港ふれあい公園
浮き桟橋が内部損傷を受けている。



気仙沼湾の港ふれあい公園
宮城県内の海岸は約1mの沈下が発生しているため、浮き桟橋との高低差が不自然に見える。



気仙沼湾の港ふれあい公園
港町ブルースの記念碑も変状がある。



気仙沼湾の港ふれあい公園前の猪狩神社
鳥居は無事であり、今後の防災高の目安になりそうである。



気仙沼湾の南気仙沼駅周辺
出島は壊滅状態であるが道路橋はかろうじて残っているため作業車輌の通行が多い。



杉ノ下漁港海岸(気仙沼市)への進入道路
半壊状態である。



杉ノ下漁港海岸(気仙沼市)の防潮水門
他の場所と同様に門柱の損傷は少ない。



杉ノ下漁港海岸(気仙沼市)の防潮水門
両サイドの堤防は消失している。



杉ノ下漁港海岸(気仙沼市)の防潮水門
管理室が転倒した状態で引っ掛かっている。



伊里前湾(南三陸町)
歌津大橋が落橋のため通行不能である。



伊里前湾(南三陸町)
歌津大橋が落橋している。



志津川湾(南三陸町)
中央奥の赤い鉄骨が防災対策庁舎



志津川湾(南三陸町)
防災対策庁舎跡



志津川湾(南三陸町)
南側の被災状況



志津川湾(南三陸町)
北側の被災



志津川湾(南三陸町)
岸壁が消失して浸水



志津川湾(南三陸町)
ゲート基礎が転倒



志津川湾(南三陸町)
海沿いに建物が残存するが空洞状態である。



北上川河口部(石巻市)
決壊した右岸側の堤防は修復済



北上川河口部(石巻市)
第1橋の左岸側が落橋。トラス材は上流側に流れていた。



雄勝湾(石巻市)
堤防が決壊し背後が流出



雄勝湾(石巻市)
建物の屋上にバスが残る。



女川街道(女川町)
路面は奥に向かって下っていくが、1km先の女川港から津波が遡上していた。



女川町立病院周辺
避難用階段は使用できる状態である。病院の1F部分まで被災



女川町立病院周辺
東側(海側)の状況



女川町立病院周辺
西側(陸側)の状況



女川町立病院周辺
神社からの全景



女川港
岸壁背後の防潮堤が消失



石巻市役所周辺の歩道
縁石配置のねじれや民境のクラックが無数にある。



石巻市役所周辺の歩道
マンホールが突出



石巻湾
日和山の山頂から望む



石巻湾
現在は瓦礫が防潮堤を担っている。



石巻港の背後地
道路部は清掃されて利用可能である。



旧北上川(石巻市)
石ノ森萬画館と近接する第2橋。致命的なダメージは受けておらず交通の要となっている。



松島湾(松島町)
島群により被災は少なく、「防波施設の分散配置+杭係留浮体方式」の組合せが、
津波からの減災に向けた今後のヒントになりそうである。



松島湾(松島町)
チェーン係留方式と思われる浮体は損傷を受けている。



仙台塩釜港 中央公園
当日は立入禁止になっていた。



仙台塩釜港
大型客船の就航が再開していた。



仙台駅
ライフラインは復旧し、通常に稼動しているようである。



閖上漁港海岸(名取市)
建物の側面の損傷が多い中、ここについては天井部のダメージが大きい。



閖上漁港海岸(名取市)
エプロン部を除いては係留施設本体のダメージは少ない。



仙台空港
仙台駅までの鉄道も復旧し、通常稼動に近づいているようである。



荒浜漁港海岸(亘理町)
ベンチは残っているが公園内の舗装・防護柵が消失している。



荒浜漁港海岸(亘理町)
護岸が消失している。



荒浜漁港海岸(亘理町)
係留施設は残っているが取合護岸は消失している。



亘理海岸(亘理町)
水門の両サイドを仮復旧中である。



亘理海岸(亘理町)
堤防背後が浸水しているため、作業用道路を前面に設けている。



亘理海岸(亘理町)
堤防背後の浸水状況



亘理海岸(亘理町)
堤防背後の浸水状況



坂元駅(山元町)
杭基礎の歩道橋は変形しながらも残存している。



坂元駅(山元町)
歩道橋に守られトイレも残存している。



東日本大震災 被災地調査のまとめ


1.現地調査ルート(平成23年6月21日~24日 3日間)

① 6/21
仙台 → <三陸自動車道> → 石巻市(市街地) → <国道398号> → 女川町 → <国道398号> → 石巻市(大川小学校付近) → <三陸自動車道> → <国道342号> → 一関(岩手県)
② 6/22
一関 → <国道284号> → 気仙沼市 → <国道45号> → 南三陸町 → <国道45号> → <三陸自動車道> → 東松島市 → <国道45号> → 松島市 → <国道45号> → 仙台港 → 仙台市内
③ 6/24
仙台市 → <国道4号,6号> → 福島県新地町 → <国道6号> → 山元町 → <県道38号> → 亘理町 → <県道10号> → 岩沼市 → <県道10号> → 仙台空港 → <県道10号> → 名取市 → <県道10号> → 仙台市若林区 → <県道10号> → 仙台市宮城野区

2. 被災地調査中における全般的な印象

  • 主な被害は津波の影響によるもので、沿岸部に集中している。
  • 宮城県での被災は、気仙沼市~山元町までの沿岸市町村の全域に及ぶ。
  • 南三陸町、女川町で最も被害が大きい印象を受けた。
  • 山地や内陸側平地では被害が小さい。(路肩小崩壊程度)
  • 港湾、漁港施設、海岸施設等の構造物損傷が印象的である。
  • 越波や地盤沈下による地盤への浸水が著しい。住宅地、農地で脱水、盛土嵩上げ等が必要
  • 道路の被災状況は、車道は比較的軽微だが、歩道は波打つなど損傷が著しい。
  • 橋梁の被災状況は、落橋によって通行止め区間がある。川幅が狭い箇所では仮橋が整備されている。大規模な橋梁が落橋しているところは放置状態である。
  • 河川の被災状況は、直轄河川では応急対策等が迅速に実施されていた。河川護岸等の損傷は規模的小さいと感じる。
  • 下水道施設の被災状況は、処理場が津波を受け損傷し機能が停止状態である。また、液状化による埋設管の沈下、マンホール突出がある。
  • 鉄道の被災状況は、津波によって駅舎や線路が流されており、利用頻度が小さい路線では復旧時期が大幅にずれ込むと考えられる。
  • 高速道路や鉄道等の盛土が津波からの抑止対策として有効機能していた。
  • 仙台駅や仙台空港などの主要施設は、機能復旧が優先的に行なわれている。
  • 現状、地方部では瓦礫処理が主体であり復旧、復興対策は見て取れない。
  • 被害が大きいで地域では信号機能が停止。電気、水道、ガス等の機能も同様。
  • においは特にきつくなかった。小バエなど虫は多い。現場はマスクが必要。
  • 放射能測定を行なった結果、どのポイントも基準値内であった。

3. 箇所毎の調査結果

 
①(6/21 石巻市、女川市)
 
  ☆ 仙台駅および周辺施設‥‥
  ・ 地震による影響は殆ど見られない。復旧済み。

  ☆ 仙台駅~三陸自動車道 仙台港北IC‥‥
  ・ 一般道の道路・住宅等問題なし。

  ☆ 三陸自動車道 仙台港北IC~石巻河南IC‥‥
  ・ 高速道路の路面・法面に問題なし。

  ☆ 仙台港北IC~石巻市役所‥‥
  ・ 住宅と道路で段差が生じている。
  ・ 市役所付近から沿岸部に冠水した痕跡あり。
  ・ 液状化によるマンホール突出を確認。
  ・ 車道は比較的健全であるが歩道は損傷激しい。

  ☆ 石巻市役所~日和山公園‥‥
  ・ 道路・河川施設・建築物の損傷が激しい。
  ・ 信号機能が停止し警察官が誘導している。
  ・ 旧北上川、石巻港周辺の低地は道路を残して原型を留めない。

  ☆ 石巻港‥‥
  ・ 現況の防潮堤が低い(1m程度?)印象を受けた。損傷も小さく見える。
  ・ 工場地帯の建築物は損傷が大きい。

  ☆ 石巻~女川町‥‥
  ・ 住宅地の地盤が沈下している。道路は嵩上げしている。
  ・ 津波の影響が小さい万石浦沿いは比較的損傷が小さい。

  ☆ 女川町‥‥
  ・ 牡鹿半島付近を抜けた地点(女川港から1km付近)から津波被害が増大。
  ・ 道路を残して瓦礫のみ散乱。瓦礫撤去しか行なわれていない状況。
  ・ 高台の病院1Fまで浸水した痕跡がある。津波高は20m以上か?
  ・ 港湾施設等では沈下が発生している。
  ・ 漁港では岸壁は残るがエプロン部が崩壊している。
  ・ 町役場が流出し、女川第二小学校に機能を移転している。
  ・ 高台の病院から一望し、防波堤が流出している状況を確認する。
  ・ 鉄道は線路跡も判断しづらく原型を留めない状況である。

  ☆ 女川町~石巻(大川小学校付近)‥‥
  ・ 津波の影響を受けた漁港(御前湾、雄勝湾)では施設が損傷している。
  ・ 地盤沈下や突提の段差、防潮堤の損傷、消波ブロックの流出が見られる。
  ・ 海岸付近の道路では路肩崩壊が見られる。
  ・ 高台の道路では損傷は殆どない。

  ☆ 石巻(大川小学校付近)‥‥
  ・ 北上川では護岸が復旧(ブロック護岸、土のう等)されている。
  ・ 新北上大橋は途中で落橋し通行が不可能である。
  ・ 大川小学校へのアクセス道路は通行止め。
  ・ 北上川沿いの田園地帯は未だ冠水しており農作物は放置状態。

  ☆ 石巻(大川小学校付近)~岩手県一関‥‥
  ・ 内陸部では道路路肩の崩壊が点在している。一部復旧作業を開始している。
  ・ 河川の管理用通路では路肩崩壊箇所を土のうで仮復旧している。


 ★ 放射能測定‥‥(健康に害の無いとされる放射能の上限 年間20msv→2.28μsv/h)

  ・ 東松島市 矢本PA ……0.094μsv/h
  ・ 石巻市日和山……………0.099μsv/h
  ・ 石巻港……………………0.075μsv/h
  ・ 女川町病院高台…………0.105μsv/h
  ・ 一関………………………0.151μsv/h
   
②(6/22 気仙沼市、南三陸町、東松島市、松島市、仙台港)
 
  ☆ 岩手県一関~気仙沼市‥‥
  ・ 地震による影響は殆ど見られない。道路への損傷も殆ど見られない。

  ☆ 気仙沼市‥‥
  ・ 漁港周辺は全体的に沈下(1m程度?)している。
  ・ 桟橋より岸壁が低い。防舷材が岸壁ごと沈んでいる。
  ・ 市役所より海側で津波被害が甚大である。特に住宅が程度が大きい。
  ・ 漁船や旅客船は一部、稼動していた。
  ・ 気仙沼漁港の南北(錦町、南気仙沼駅=駅舎なし)で被害が甚大。
  ・ 気仙沼漁港では太平洋側に大島や半島があるため、津波エネルギーが若干
    低下したと思われる。(女川町や南三陸町と比較した場合)
  ・ 市役所は高台にあり無事であった。

  ☆ 気仙沼市~南三陸町‥‥
  ・ 海岸域は壊滅状態、高台部では被災は小さい。
  ・ 御伊勢浜海水浴場付近の水門は、操作台が基礎から転倒している。
    水門およびゲートは被害が比較的小さい。
  ・ 気仙沼市本吉町、南三陸町志津川では街全体が壊滅しており、復旧活動も
    あまり顕著に見られない。瓦礫もそのまま。復興は遠い印象であった。
  ・ 本吉町では落橋のため迂回が必要であった。

  ☆ 南三陸町‥‥
  ・ 街全体が壊滅状態であった。
  ・ 防潮堤(地上より3m程度か?)の崩壊、地盤沈下、建物は殆ど残っていない。
  ・ 町役場は鉄骨を残しほぼ全壊状態であった。
  ・ 町営ビル(4F建)の屋上まで浸水していた(津波高15m以上か?)
  ・ 瓦礫撤去が中心で復興までは遠い印象を受ける。

  ☆ 南三陸町~東松島市‥‥
  ・ 三陸自動車道、国道に被災は見られなかった。

  ☆ 東松島市‥‥
  ・ 海岸域で被害が見られる。
  ・ 野蒜駅付近は住宅を中心に被害が甚大であった。

  ☆ 松島市‥‥
  ・ 名勝松島では被災は比較的軽微な印象を受ける。
  ・ 津波高も防潮堤(1m程度)の天端を超えた程度と想定される。
  ・ 商店舗が一部被災しており、復旧が行なわれていた。
  ・ 島が点在しており、津波エネルギーが低下したと想定。

  ☆ 松島市~仙台港‥‥
  ・ 塩釜市塩釜港町付近で住宅が被災していた。
  ・ 主要な道路は被災が小さい印象を受けた。

  ☆ 仙台港‥‥
  ・ 津波により駐車施設等が被災。
  ・ 液状化による道路陥没が見られた。
  ・ 中央公園は立入不可であった。
  ・ 大型旅客船が就航しており、概ね機能は復旧している模様であった。

 
 ★ 放射能測定‥‥(健康に害の無いとされる放射能の上限 年間20msv→2.28μsv/h)
 
  ・ 岩手県一関………………0.151μsv/h
  ・ 気仙沼……………………0.064μsv/h
  ・ 南三陸町(歌津)…………0.045μsv/h
  ・ 南三陸町…………………0.074μsv/h
  ・ 松島町……………………0.040μsv/h
 
③(6/24 福島県新地町、山元町、亘理町、岩沼市、名取市、仙台市)
 
  ☆ 仙台~福島県新地町‥‥
  ・ 内陸部の国道、県道では大きな被害は見られない。
  ・ 沿岸方向にシフトしている山元町から道路で浸水跡あり。
  ・ 河川沿いに瓦礫が散乱していた。

  ☆ 福島県新地町‥‥
  ・ 埒川(らちがわ)河口の排水機場は、操作室建屋の外壁とポンプ施設は残って
    いるが、電気設備等が著しく被災し稼動しない。
  ・ 水門・ゲートの被害は小さいように見える。
  ・ 周辺護岸の被害が大きく、元の河道が判別できない状態である。
  ・ 河口付近は1トン土のうで応急対策を実施していた。
  ・ 河口付近の防潮堤損傷が大きい。

  ☆ 山元町‥‥
  ・ 沿岸部に近い鉄道の被害は著しく、駅舎は大破し線路は流出していた。
  ・ 防潮堤まで近づけない。目視では部分的に被災している模様。
  ・ 防風林が倒壊している。
  ・ 住宅は全壊し、流出していた。
  ・ イチゴ栽培が有名な土地柄であるが農地も被災し復旧の目処が立たない。
  ・ 液状化による、下水管の沈下等が見られた。

  ☆ 亘理町‥‥
  ・ 被災状況は山元町と同様な印象を受ける。
  ・ 常磐自動車道の盛土が堤防機能を果たし、内陸部の被害が軽減している。
  ・ 鳥海公園では、護岸損傷、エプロン沈下、石積み護岸の崩壊が見られる。

  ☆ 岩沼市(仙台空港)‥‥
  ・ 仙台空港では所々被災しているが、概ね機能は回復している模様。

  ☆ 名取市‥‥
  ・ 閑上(ゆりあげ)地区では漁港施設、商業施設等が全壊。
  ・ 標高10m程度の富主姫神社の石碑が倒壊していた。
  ・ 警備員が常駐しており一般車両は進入が困難であった。

  ☆ 仙台市若林区、宮城野区‥‥
  ・ 傾いた電柱が見られる。隣接して新設電柱も存在していた。
  ・ 液状化によるマンホール突出が見られる。
  ・ 下水処理場の建物施設が被災。水処理施設の被害は軽微に見える。
  ・ 仙台東部道路の盛土が堤防機能を果たし、内陸側は被害が軽減していた。
   
  ★ 放射能測定‥‥(健康に害の無いとされる放射能の上限 年間20msv→2.28μsv/h)
 
  ・ 仙台市青葉区……………0.037μsv/h
  ・ 山元町……………………0.169μsv/h
  ・ 福島県新地町……………0.220μsv/h
  ・ 亘理町……………………0.078μsv/h
  ・ 岩沼市……………………0.052μsv/h
  ・ 名取市……………………0.034μsv/h



今回のレポートは以上です。



当社が在住する徳島県においても東南海・南海地震による被害が想定されており、
今回の教訓を地域の減災に活かせればと痛感しております。



被災されました方々に心よりお見舞い申し上げます。
早期の復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。